世界史教室

大学受験生のための世界史問題解説

過去問センターワンフレーズ論述参考書疑問

一橋世界史の再現答案

一橋合格者に答案を再現してもらいました。

第1問

三圃制普及など農業技術の革新や西欧封建社会の安定を背景に西欧で人口が増加、また十字軍の進展やヴェネツィアなど北イタリア諸都市による地中海交易の活発化を背景に、12世紀以降、ドイツ人による東方殖民が進展、スラブ人地域にまで拡大しクロアティアなどにカトリックが伝わった。第3回十字軍で成立したドイツ騎士団はエルベ川以東に入植しカトリックを伝えたが、ポーランドはリトアニアとヤゲウォ朝を形成しタンネンベルクの戦いでこれを破り強国化した。モンゴル侵入で人口低迷、土地荒廃が進んでいた東欧地域は、東方殖民を積極的に受容、農業生産が行われ東欧の開発が進んだ。大航海時代到来による世界の一体化により西欧で商業革命・価格革命が起き貨幣経済が発展したが、東欧では商業が発展せず、領主が農民を農奴として使役し、ヨーロッパ輸出用の穀物を生産させるグーツヘルシャフトが進展、東欧は西欧経済に従属し、国際分業体制に編入された。(397字)

第2問

官僚と常備軍を軸とする絶対王政が確立すると、国王は国内統治のため、貴族を免税・官職の授与などの特権で保証、市民と変わらず国王の課税を協賛する立場に過ぎなかった貴族は、国王の国民直接支配を妨げるようになった。宮廷の浪費等でフランスが財政赤字に陥ると、国王はテュルゴー・ネッケルを登用して財政改革を行い貴族など特権身分への課税を試みたが、貴族は国王の権限を抑制すべく自ら三部会を招集した。旧体制の打破と基本的人権の要求をスローガンとするフランス革命は、このように市民層から始まったものでなく、貴族の動きから起こったものとみなせる。革命というものを市民層を中心とする市民革命として捉えるならば、このような貴族の動きは単なる「反乱」とみ なすことができる。これに対し、革命を身分を問わず政治体制そのものへの反発として捉えるならば、このような貴族の動きは堂々たる「革命」とみなすことができる。(389字)

第3問

Aa興中会b康有為c北洋艦隊d国民党 孫文ら革命派は民族の独立、民権の伸長、民生の安定の三民主義に基づく改革を目指し、駆除韃虜、恢復中華、創立民国、平均地権の四大綱領を掲げ清朝の専制体制打破を目指した。これに対し立憲派は清朝を擁護し、日本の明治維新を模範とする立憲君主政、議会政治の確立を目指す政治体制の改革を唱えたが、華僑の資金援助を受けた革命派が勢力を拡大し、光緒新政の手遅れで立憲派は後退した。(200字) B開化派は高宗の摂政大院君の鎖国政策を批判、壬午軍乱で閔氏政権が成立し朝鮮で清の影響力が高まると、金玉均らは日本と結んで甲申政変を起こし近代化を目指すも失敗した。日清戦争後の下関条約で清が朝鮮の独立を容認、開化派は普通選挙や 議会政治の確立、特権身分廃止による人民平等、富国強兵を目指したが、日本の朝鮮進出、閔妃殺害事件を背景に朝鮮では反日義兵闘争が激化し、大韓帝国と称し自主独立を主張した。(195字)

 

(再現答案について)

 どんな答案を書いたから合格したのか知ることができないものです。そこで実際に合格されたかたに受験場で書いた答案を、試験が終わってから時間のあまり経過していない段階で再現していただきました。合格者本人から掲載の許可をえています。答案として完全ではありませんが、合格に寄与した答案であることは確かです(もちろん世界史だけで合格できるわけでもないことは言うまでもありません)。ただ予備校の細かい知識を駆使(ひけらか)した答案ではなく、高校生・高卒生が書ける合格答案とはどういうものかを知ることができます。受験場ではカンニングする教科書・参考書・用語集はなく、それまで勉強してきたことを精一杯発揮した貴重なものです。